皆さんごきげんよう。
桜が咲き始めました。暖かい日が続いて気持ちいいですね。
皆さんのお宅に古いハンコは眠っていませんか?当店には時々、ハンコの鑑定依頼のお客さんがお見えになります。鑑定と言っても種類を見分けるくらいで大した事は出来ないのだけど…。
今回いらっしゃったのは、祖父の古いハンコが何個もあるので見てほしいというご要望です。
柘植の木やら水牛の角やら沢山あった中で、一番汚れていた四角いハンコがありました。真っ黒だったので持って来られた方も「これはね~。」なんて言っていたけど、持つとずっしり重い。磨いてみたらやっぱり象牙でした。
目の詰んだ上印材に金銀銅で象嵌を施したとても風雅なハンコです。朱肉がしっかり染み込んでいるので、手紙の落款印なんかでよく使っていたんでしょうか。
二世代くらい前の人たちは円柱や角柱、長いのや短いのなど、色んな種類のハンコを作っていたようです。押す機会が今よりずっと多くあっただろうから使い分けていたんですね。
衣類や食器にしてもそう、日常の色々なモノをハレとケ、内と外、季節等々でそれぞれ分け、使う自分ではなく『手にする相手』を思って最適なものを選んでいた時代。作り手は一つ一つ心を込めて作り、使い手も丁寧に使う、人々の心は今より豊かだったんだろうな。
後日、引き取りに来た際に少しお話を伺いましたら、持っていたお祖父さんは明治初年生まれの趣味人だったそうです。なるほどどうりで、と納得。
ではまた。