何でもない話 ②

何でもない話 ②

皆さん 御機嫌よう。

暑い日が続きますね。

さて、先日年配のお客様がいらっしゃいました。
会社の住所印を注文したまま受け取り忘れていたとのこと。
ごくまれにあるんです。仕上がりの連絡を何度差し上げても受け取りに来てくれなくて、その内連絡がつかなくなってしまうことが。
今回は思い出して、引き取りに来てくれたので良かった。でも最近そんな引き取り忘れあったっけ?
(名前は仮名、方言を標準語にしています)

「いやーうっかり忘れててすまんね。」
「いえいえ、それでお客さん、お店のお名前は何とおっしゃいます?」
「インディゴってんだけど…。」
「なるほど…ちょいとお待ちください。」

「…探してみましたけど、インディゴさんのゴム印は見つからないんですよ…。」
「じゃあ、ワシの名前かな?つむら。」
「つむらさんは、漢字で津村ですか」
「いや、カタカナでツ・ム・ラ。あとは住所と電話番号。」
「ツムラさんですか。…それが住所印の忘れものは見つからなくて。すみません。もしかしたらうっかり無くしてしまったかも。いつ頃の御注文でしたか?」

「十数年前だけど。」
「…えーっと。何年前です?」
「十数年前。十五・六年前かな?」
「あらー、そんなに前…。私が代替わりして今年で四年目なんでちょっと…。父は覚えてるかな。」
「え~。じゃ聞いといてよ。困ったねぇ。」

数日後

「兄ちゃん、ハンコあった?」
「いや~見つからないんですよ。父も覚えていないようで…。ごめんなさい。」
「ダメだねー!。まあ、無いなら無いでいいや。随分前に店閉めたし。もう要らないんだけど悪いなと思って。」
「そうですか…。」

もう、何とも言えません。